日本の弱点-強すぎる官僚と弱すぎるシンクタンク

ずいぶん久しぶりに「日本には独立系のシンクタンクがない」という話を聞く機会があった。

米国では独立系シンクタンクが政策提案を行っている。これを政府が参考にして、実際の政策を立案していく。こうした機能が日本にはないのだ。ずっと以前から、こういう点は指摘されていたにもかかわらず、いまだに日本には政策提言を行える独立系シンクタンクが存在していない。

メーカー系シンクタンクの主席研究員が言ってるのだから、日本のシンクタンクが弱いというのは、まず間違いがない。



ところで、民主鳩山代表が「脱官僚」と言ってるらしい。

こういう話を聞くたびに、故橋本元総理が言った「官僚は最高のシンクタンク」という言葉を思い出す。

官僚が最高のシンクタンクであるならば、脱官僚を目指したときに、政治家の政策、法案作成を支援するのは、一体何なのか?

良くも悪くも、政治家は官僚がいなければ仕事ができないのが現状だが、
そういう認識があるのだろうか?

これが日本の弱点のひとつだといわれている。
つまりシンクタンク機能と、行政機能が分離されていないということ。

米国では独立形のシンクタンクが政策立案をするのに対して、日本は官僚がそれを行う。この問題点はずっと以前から指摘されているが、全く改善されていない。

この日本の状態は、官僚が正しく機能すればよいが、省益を優先するような政策が立てられてしまっても、政治家ですらそれをコントロールするのが難しい。無理やり、政治家が止めようとしても、官僚の方が頭がよいので、結局ゆがんだ形での解決にしかならない。

政治家が主導して行った行政改革が、全体で見れば結局何も変わっていないということが繰り返されているのは、政治が官僚に動かされている証拠のようなものだ。

現状の日本のシンクタンクは結局、経営コンサルタントの仕事しかしていないのが実情。とてもじゃないけど、米国のような協力な独立系シンクタンクが出てくる気配もない。

そういう状況で「脱官僚」といっても、今度は政治家の暴走をチャックすることができない。

政策立案プロセスが透明化されず、第三者のチェックすら受けず、官僚や政治家が“勝手に”政策を立てて実行されている。

こういう状況が正しいとは思えない。