「1ドル=90円台半ば」は皆の思い

菅氏発言 首相や閣僚から批判
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1071702&media_id=2

1ドル=90円台半ばという水準は、今の経済界の本音だと思う。特に輸出関連は、95円程度で3月を終われれば、各社の経常利益の水準は引き上げられ、景気回復の手助けとなるだろう。
いきなり、この数字が出てきたことで、管さんが、日本経済の現状を今ほぼ正しく認識しているということが分かった。
財務大臣が、経済の現状を理解しているというメッセージとしても、今回の発言は、日本企業に対して、安心感を与えたのではないだろうか?と思う。
もちろん、財務大臣が為替水準を「示唆」することは、直接にマーケットに影響することなので、できるだけ避けた方が良いのは確かだ。だが、現状の為替水準は円の独歩高となっており、輸出における価格競争力は確実に落ちている。

今日の日経新聞で、興味深い記事があった。
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「日本の輸出産業の国際競争力、アジア下回る」
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20100108AT1D060CU07012010.html

 大手商社などで組織する日本機械輸出組合(宮原賢次理事長)が日米欧アジアの主要企業について国際競争力を調べた調査で、日本がアジアに抜かれて最下位になった。対象は機械や自動車などの各国大手。日本企業は売上高に対する費用の抑制が不十分で研究や投資も非効率という。
 08年9月から09年7月までの売上高営業利益率と世界シェアを企業群ごとに掛け合わせるなどして、競争力を示す指数を算出。日本企業は前回より1.3ポイント低い0.4でアジア(0.8)を下回った。どの地域も経営環境は厳しいが、日本企業は売上高営業利益率の低さが際立っており、同組合は「製造原価や販売管理費の削減が十分でない」としている。 (07:45)
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記事からでは、企業努力が足りないかのような印象を受けるが、日本は他の地域に比べても、政府の輸出振興策が手薄である。自民党政権時代から、米国の要望に従って内需の拡大のみに力を入れ、貿易摩擦を避けるために輸出振興をほとんどやってこなかった。輸出信用は本来、政府の役割だが、それを民営化したり、政府系金融機関の一窓口として、機能制限したり。それで「構造改革だ」って胸張ってたのが自民党である。これでは輸出競争力が伸びるわけが無い。

英米仏加などの大使館は、日本のマスコミに対して積極的に自国産業をアールする。しかし日本の大使館がそういう動きをすることはほとんど無い。ビックリしたのは、アジアの某国では「環境技術といえば欧米」「日本の環境技術なんて知らない」という。これは上の記事の元となっている機械輸出組合のヒアリング調査によって明らかにされたものだ。それほど、日本政府は何もやってこなかった。

そういう背景も、輸出競争力の低下にあわられてきている。

管直人の為替に関する発言は確かにフライング気味ではある。しかし、実際にレートがどう動くか、というより、輸出産業への理解という、今での内閣になかったものを感じさせた。