i MiEV試乗記

取材先の会社が、三菱自動車のiMiEVを導入したので、わがまま言って昨日、試乗させてもらった。

普通に運転できるだろうとタカを括って行った。

実物は、普通の軽乗用車である。企業のペイントが施してある、黄色いiMiEVである。ハデだ。運転管理している担当の方から、一通り説明してもらう。バッテリーの残量はパネル左上部の丸窓に走行可能距離が表示される。
またスピードメーターを囲むように、エンジン車でいうタコメーターのようなものがあり、ここで現状の電気出力を確認できる。バッテリーが無くなっていくと、出力が上がらず、スピードも出なくなる。それでも走っていくと、「カメさんマーク」がでて、ノロノロ運転になり、その状態で充電スタンドまでたどり着けるように設定されているという。
シフトは通常のドライブのほか、Ecoモードがあるのが特徴。Bというのはなんだかよく分からなかった。

乗車予定時間は20分程度。残りの走行距離は30kmほどあったので、残量としては余裕である。
早速、乗り込んで、バッテリーをオン。シフトをEcoモードにしてブレーキを離す、が動かない。アクセルを踏み込んでも動かない。おかしいな?と思ってたら担当の方が窓から覗き込んで、「スターターをもう一段、回さないとオンになりません」

最初に言ってください。
パネルが光ってたから、てっきりオンになっているかと思ってた。

気を取り直して、バッテリーを入れてブレーキを離すと、ゆっくりスタート。この辺は普通の静かなクルマと変わらない。
が、道に出て加速すると、全く音も振動もなく、スッと加速していく。
ガソリンエンジンクルマであれば、エンジンの音と振動で加速に対するエンジン負荷を感じるところが、それが全く無いのである。

一瞬「怖い」と思った。

エンジンの負荷を感じられないということは、エンジンブレーキの効果に頼ることができないということだ。
無意識のうちに、エンジンブレーキの作用が無いということを体が感じとり、下腹がキュっとなるような感覚。外部が見えるエレベータに乗って下降した時の感じだ。

ところがアクセルから足を離すと、フっと減速する。信号停止も、通常のエンジン車の感覚と変わりない。ただ、発進、加速、減速、停止のすべてが全く静かなのである。

モーターは元々、低速回転時はトルクが高く、高速回転ではトルクが低くなるという特性を持っているため、モーター駆動の場合はギアが必要ない。従ってシフトアップ・ダウン時の軽いショックも全くない。極めてスムーズだ。

2~3回、発進と停止を繰り返したところで、この一種独特な運転感覚にも慣れてきた。

ただ、Ecoモードでは加速の力強さがない。
「加速がいい」と聞かされていたので、これはちょっと不満。

そこで途中でいったん停止し、Dモードに切り替えて発進してみる。

「これはいい!」と思わず口にしてしまった。
思い通り(に近い)加速感である。高速入り口ではもう少し加速感が欲しいところだけど、一般道では十分だった。(途中でバイクに左から追い越されてヒヤっとしたが)

電気自動車といえば、「ウィー」とうなりつつ、モッチャリモッチャリしたものしか乗ったことがなく、鈍重なイメージしかなかったけど、iMiEVは公道で十分、使用に耐えるものだった。それが排気ゼロなのである。非常に気持ちいい。

この企業では、2台導入予定なのだが、当面は1台のみの運行で、残りの1台は半年ほど納入待ち。人気が高くて、生産が追いついていないそうだ。

あ、あとこの車。時々しゃべりますのでお楽しみ。

追記

道案内してくれた人のポカで、見知らぬ路地に入り込んでしまい、迷うこと数分。ただこのお陰で軽ならではの小回り性のよさを再確認できた。

だけど、路地から出て行くさいに、通行人が一様にちょっと驚くので、静かすぎて歩行者に警戒を促さないのは問題。ドライバーが通常より安全運転に気をつけるしかないので、その面では良いとも言えるが、歩行者にクラクションを鳴らすのも憚れるので、多少は音があったほうが安全につながるだろうな、と実感した。