八ツ場ダムをコストや進捗率で語る愚

「ここまで進めちゃったんだから最後までやったほうがいい」
「中止の方がお金がかかるので進めたほうがいい」

八ツ場ダムの件で推進派が口にするのは、こんなことばかりだ。
いずれも実に下らない主張であり、聞く耳持つ必要がない。

推進すべきか否かは、八ツ場ダムが必要な事業であるか無駄な事業であるか。
視点はその一点のみでよい。

ムダならば即刻中止すべきだし、有意義であるなら断固、進めるべきだ。
ダム本体が着工されておらず、周囲の道路や鉄道だけが先行している現状なら、
中止することに大きな問題はない。

民主党はこの事業を「無駄な公共事業」と判断した。
ならば推進派はこの事業が「必要である」ことを証明すればいい。
途中で止めることのコスト計算なぞ、それこそ無駄な作業である。

無駄な事業であるならば、中止するほうが安くつくに決まっている。
数十年もの長期間の運用・維持・メンテナンス費用。
そして、無駄に生まれる水資源の引き取りに必要などを考えれば、
作った方がライフサイクルで見れば高くつくに決まっている。

推進派が考えるのは、論理的、工学的に必要性を証明するのみ。
それ以外は全く必要ない。

民主党はそれが提示されたら、再度、検証を行う必要がある。

ダムは治水の要であり、ダム以外の治水が可能であれば、それは建設する必要はない。
しかしダム以外の答えがなければ、ダムを作るしかない。

水資源の問題も八ツ場ダムにはかかっているが、水資源に関しては、ほぼ意味がないのはわかっている。
首都圏の水需要が伸びないし、仮に渇水が起こっても、東京の地下には豊富な地下水が眠っている。
緊急時に地下水を取水するぐらいではビクともしない。

従って、治水面での八ツ場ダムの必要性が証明できればそれでいいのである。

国土交通省の役人や土建業者もサポートしてくれることだろう。
推進派にとって、必要性を河川工学的、論理的に証明するのはそれほど難しいことではないはずだ。

コストや工事進捗率でとやかく言うのは、もはや愚の骨頂である。