日本は韓国に負けている

 日本の海外での建設工事の受注総額は今年度、300億ドルを下回ることになりそうだ。(海外建設業協会統計、プラント・エンジニアリング成約統計などからの推計)

 これに対して韓国の海外建設受注高は、2009年の1年間で、953億ドルと大きく差をつけられている。(ちなみに中国は1200億ドルとなっているが、内容があまりよく解らない)

 こういう数字を提示しても「日本は技術の高いものを輸出している。韓国とは違う」と、日本は自分を慰めてきた。しかし実際、ここ数年の韓国の海外での活躍は目覚しく、昨年末にはアブダビ原子力発電建設・運営プロジェクトを受注した。フランス勢、および日米グループとの競合の末に見事、受注した。ウォン安と政府の強力な支援体制が、成功の要因である。

 今回の原発は全くそのセリフ通用しない。アブダビは「安全性が最も高い」と韓国を評価したのだ。技術では既に、技術面、安全性の面からも原子力先進国である。ヨルダンとUAEの研究用原子炉の建設も受注した。

 昨年、中東で複数の大規模製油所の新設が発注された。その殆どを韓国勢が受注しているのだ。石油精製設備はこれまで、日本が得意としていた分野である。もう日本はこの分野では、機器輸出ぐらいしか生き残れないのかもしれない。中東でビル建設を受注しているのは現地企業か欧州、そして韓国企業であり、日本の姿は殆どない。

 鉄道ではこれまで、日本は欧米に追いつけ追い越せとばかり、無理な受注を繰り返してきた。成功事例はいずれも、距離の短いピープル・ムーバーやLRTであり、これはこれで素晴らしいのだが、長距離となる高速鉄道などでは失敗を繰り返している。今後、日本は米国での高速鉄道の受注を狙うが、その隙に韓国はブラジル、およびトルコなどで複数の受注を成功させるだろう。

 カナダでは、世界最大の風力・太陽光発電を韓国が受注した。インドの超臨界圧石炭火力発電設備も韓国である。

 ちょっと道に逸れると、バンクーバーオリンピックではフィギュアスケートでのキム・ヨナ浅田真央の対決に注目が集まっているけれど、少なくとも現状では実力・演技の完成度ともにキム・ヨナの方が上だ。むしろ調整次第では浅田真央は銅メダルすら、危ういのではないか?と思ってしまっている。

 すでに日本は韓国に負けている。その自覚がまず日本に必要だ。そして、韓国に負ける要因は何か、ということを考えなければならない。

 重要なのは「高い技術を提案する」ことは「高い値段を提案する」こととイコールだということ。日本は地震国であり、建築物には高い耐震技術が必要だ。しかし、世界の多くの国では、これほど高い耐震構造は求められていない。
全ての水を飲み水のレベルに浄化する必要だって求められていない。

 必要なところに必要なモノを提供するのがサービスというものである。日本は必要以上のモノを高い値段で押し付けようとする。

 だから韓国に負けていく。いくら技術面で韓国を凌いでいるとしても、受注できていなければ、意味がない。世界の建設市場は拡大しているが、日本はむしろ海外での受注は減少傾向にある。つまり、それだけ早いスピードで、日本は世界市場のなかで、存在感を失いつつあるのだ。

 なぜ、そうなったのかを真剣に考えなければならない。とっくにそういう時期に来ているのだ。




 …いい加減、技術が高けりゃ世界が認めてくれる、という幻想はやめたほうがいい。現実には、高い技術は高いコストを意味する。そんなに高くなくて良いよ、っていわれりゃ、それで終わりだ。
 だから、技術よりももっと別の形で、アピールしなけりゃいけない。そのひとつが「ロジカルシンキング」だこれが日本人は圧倒的に弱い。
 排外主義の人を見れば明らかなように、日本人は論理的思考ができない人が多い。政治家からしても右がかっている人は皆そうなんだから、シモジモといわれてヤニ下がっているような人はもう、どうしようもない。

実際、企業ではロジカルシンキングの訓練を社員にさせている。国際的な人材育成で有名な「○ロービス」のカリキュラムは、厳しいけど、国際的な仕事をしている人間にとっては、目からウロコが落ちるような体験を得られるらしい(宣伝にしないよう一文字落とし)。

特に、その中で面白いのはシナジー体験だって。一人一人は当然、違いがある。その違いが大きいほど、得られるシナジーも大きくなる、という体験を目の当たりにする。

これで人の意識は大きく変わる。

違う人とこそ、共同で創造すべきなんだ。
要するに、仕事を競争として捕らえるのではなく、「共創」と捕らえることで、利益は飛躍的に拡大する。これが世界の現実だ。

っていうようなことを考えていくと、やっぱり日本は日本人だけじゃ、ダメなんだって思う。日本が今沈みつつあるのは、日本人の間だけで、なぁなぁとやってきたからだ。これはぬるま湯ののように気持ちいいけど、進化はしない。

進化してきてる新興国に如何に対抗していくか。と考えると「外国人参政権ぐらいでオタオタすんなよ」「外国人参政権ぐらい導入しないと、日本がダメになっちゃうよ?」といいたくなっていくのである。