鯨食文化を守るため、調査捕鯨をやめるべき

【ワシントン25日時事】25日付の米紙ワシントン・ポストは、ホガース国際捕鯨委員会(IWC)議長(米国)が日本による南極海での調査捕鯨を縮小する代わりに日本沿岸での捕鯨を容認する試案を検討しており、合意の取りまとめに向けて水面下で協議中だと報じた。



昨年のグリーンピースによる鯨横流しの告発以来、日本は調査捕鯨をやめて沿岸捕鯨業者を保護するべきだと思っていた。

mixiでもカマヤン氏の運営する掲示板「オルタナティブ@政治・経済」でもそういう趣旨の発言をしたところ、かなり反発を食らった。調査捕鯨の断念を捕鯨そのものの放棄と短絡的に捕らえる人があまりにも多かった。

しかし鯨食文化を守る、ということが目的であるならば、調査捕鯨はやめて、沿岸捕鯨に徹するべきなのだ。

月刊「ウェッジ」2月号に、元外務副報道官の谷口智彦氏が「メディアが伝えぬ日本捕鯨の内幕、税を投じて友人をなくす」という記事が載っていた。

日本の捕鯨の立場を海外で説明するのが仕事の一つであった谷口氏が、「個人の意見」としながら、明確に調査捕鯨をやめるべきだと、主張している。

かいつまんでその主張を紹介すると
①鯨肉の市場規模は多く見積もっても100億円以下しかない。
②対して遠洋捕鯨は政府のみで、民間は存在しない。しかも政府はこのため330名を雇用しているだけ。
③沿岸小型捕鯨で稼動できる船ははわずか5隻、31名のみ。1隻平均の水揚げは6,460万円。経費は9,500万円の大幅赤字で、存亡の危機に瀕している。

以上「国益というには小さすぎる」のであり「経済合理性はない」

一方、
④IWCで遠洋商業捕鯨が認められる可能性は限りなくゼロに近い
⑤例え奇跡的に認められたとしても、日本の市場ではあまりに利益率が低く、民間の遠洋捕鯨業者は存続できない。⑥調査捕鯨は1000頭近いミンキー鯨(高級鯨種)を取り、市場に回すため、市況が軟化、そのため沿岸捕鯨の採算が改善しない。
⑦従って、調査捕鯨を止め、引き換えに沿岸小型捕鯨が採算にのるようにすべき。
としている。

谷口氏に対して、2chではかなり感情的な批判が集まっているようだ。だが、谷口氏を批判する彼らは、沿岸捕鯨の関係者たちがどれほど普及に努めても、鯨肉消費は増えていかないこの実態をどう考えているのか。赤字の状態をいったい何時まで続けさせるのか。

このままでは、沿岸捕鯨業者が居なくなる。それは日本の捕鯨産業が消滅した、ということを意味する。

IWC議長のこの試案に、日本は積極的に乗るべきだと思う。