望んでいるのは民主党政権か?

 自民党が民意から逸脱した政策しか打ち出せないという、きわめて硬直した組織となり、あとは瓦解を待つしかない現状において、民主党政権の誕生が現実味を帯びてきた。国民の多くも、政権交代に対する期待感が出てきているように見える。

 だが、本当に望んでいるのは民主党政権なのだろうか?民主党にはリベラル派もいれば極右議員もいる。このようなごった煮政党で、本当に国民にとって望ましい政策を打ち出せるのだろうか?

 民主党の出自を考えれば、その母体はかつての自民党の中核勢力である。現在の自民党に続く、その政策の源流を担った人たちである。そこが政権を獲得すれば、結局はかつての古い政策が巻き返されるだけのように思える。

 それが国民の望みだろうか?

 そもそも日本の国民は日本の政治に何を望んでいるのだろうか?

 今までのような利益誘導型の政治を望むのであれば、自民党だろうが民主党だろうが、政治・政策には何も改善されることはない。
 消費税率は引き上げられ、格差は温存される。セーフティネットが、ほんのわずか、今よりも整備される程度の成果しか見通せない。

 本当に日本国民が望む政治が何か。それが明確化していないのが、現在の最大の問題点だと思う。

  民主党は所詮「第二自民党」でしかない。政権交代が起これば、それで世の中がよくなるというのは、あまりに政治を楽観視しすぎている。しかし現実には政権交代そのものが重要だろいう論調も少なくない。

 某掲示板でもそういう人がいる。「非自公派」と名乗る彼は、今は政権交代こそが重要であり、そのためには共産党は選挙区において独自候補を立ててはいけない、とまで言い切っている。昨年、共産党が候補を立てなかった選挙で民主が勝利を収めた事実を元に、そう言っているのだが、これは全く議論に値しない主張である。
 「重要なのは政権交代であり、政策ではない」といっているのと同じであり、政権交代を餌にした共産党批判にしかなっていない。

 国の政策に何を望むのか、それが第一にあるべき話だ。政権選択はその次の問題である。政策連携ができないのであれば、独自候補を立てなければ、もはや政党ではない。こういう、物事の考え方の基本ができておらず、本末転倒すると「非自公派」のようなトンデモ主張が生まれてくる。
 政治を語る人間が政治力学にしか関心を持たず、本筋である哲学を語れなくなったこの国で、政権交代が実現したとしても、本当に生きた政治に生まれ変わることができるのか。悲観的にならざるを得ない。

 この国の政治に何を求めるのか。それを明らかにしなければならない時に来ている、と思う。今こそ哲学を語るべきだ。



ちなみに私が望むのは「より公正で、より効率的で、より自由な国家」です。