的外れだよ、天木直人さん?- 国籍法改正、広がる誤解-

 今まであまり関心のなかった国籍法改正だが、最近はちょっとその大きな動きに驚いている。

 11月中にも成立の見通しだったこの法律が、自民・民主の話し合いで先送りされてしまったらしい。
理由については良くわからないが、おそらく自民・民主両党の保守的(というか右翼)議員が、党派を超えて連帯し、両党の幹部に圧力をかけた結果だろうと思う。

 違憲状態にある国籍法を、憲法に沿った状態に正すというだけのこの改正法案が、「偽装認知による不正な国籍取得に道を拓いてしまう」という全くの誤解により、各方面から批判を浴びている。

 驚くことに、あの天木直人氏ですら、同じ誤解を元にブログを書いてしまっている。
http://www.amakiblog.com/archives/2008/11/27/#001257
 このブログによると、田中康夫ちゃんも日刊ゲンダイ紙上で「偽装認知を行なって国籍取得する事に道を開く事によって、子供たちを悪の犠牲者(闇の子供たち)に貶める憂慮すべき事態を助長しかねない」と反対しているそうだ。
 週刊新潮も平沼&桜井よし子の右翼対談で、この法律を糾弾している。

 なぜ、これほどに誤解が広がっているのだろうか?
まず、この法案について自民党河野太郎議員のホームページが、世間で言われている疑問に対して答えを出している。

国籍改正法Q&A
http://www.taro.org/blog/index.php/archives/946
国籍改正法Q&A
http://www.taro.org/blog/index.php/archives/950


…しかし品性下劣なコメントが多いなぁ…


 既に最高裁判所の判断で違憲状態にある、という判断をされた以上、その法律は改正されなければならない。従って、今回の改正法案は至極当然の話なのだ。

法律論としては既に終了している問題であり、反対者が言っていることは全て杞憂に過ぎないのが理解できるはずだ。

 しかも、天木直人氏は、ブログの中で「国籍法改正を急ぐ理由はどこにもない」と結んでいるが、実は急ぐ必要がある。

 違憲判断が出た以上、行政は認知さえあれば受け付けないということが出来ないのである。受け付けないというのは行政事務が憲法違反を犯すことになるのだ。

 従って成立が遅れれば遅れるだけ、偽装認知による不正な国籍取得がより容易な期間が長引いてしまう。それこそ、田中康夫氏が心配する、子供達の犠牲の増加に繋がっていってしまう。

犯罪を防ぐためにも法案の成立を急がなくてはならないのだ。


-「人権重視の護憲政党が、日本国籍を取れない子供の人権を慮って改正案を賛成したとすれば、田中康夫氏のいうように悪の手にかかる子供たちの人権はどうなのか」-

 と天木氏は書いているが、むしろ国籍改正法の成立を先延ばしにすることで、悪の手にかかる子供達を増やす結果となってしまうという点に、なぜか、気がついていない。


 偽装認知なんてことは現状の法律でも、やろうと思えばいくらでもできるし、それに対する罰則も無かった。
 それが今回は偽装認知に対する罰則が盛り込まれている。それだけでも、現状よりも犯罪行為の抑制に繋がっていくはずだ。

 こうした点について反対派はなぜ斟酌しないのだろうか?

 理性的な人間ならば、法案についての誤解を解けるはずだ。