中国共産党の悲鳴が聞こえる

 「中国共産党は今、危機に瀕しているようなのです」。既に数年前、ぎんがみにそう教えてくれた人がいる。彼は中国で建設プロジェクトに携わっており、許認可事項などで中国政府との接触もおおい。また中国人労働者の監督もしており、中国の一般階級との付き合いもある。

 彼の話を要約すると、次のようになる。

 工業政策と農業政策のバランスが悪く、内陸部と沿岸部の格差が広がってきているため、内陸部の農民が農業を棄て、大挙して沿岸部に押し寄せていることは以前から伝えられていた。しかし最近はではそうした農民達が格差を目の前にして、頻繁に暴動を起こすようになっている。それも殆ど毎日、だ。既に中国共産党への求心力は低下し、地方役人は腐敗し、国としての機能も果たせなくなりつつあるという。

  この話を聞いたのは数年前。そして暴動が頻発している事態は一部、日本にも伝えられるようになった。そして今、北京オリンピックを迎えようとしている中で今の状況はどうだだろうか?
 先日、中国で人権活動家に懲役刑が課せられたと伝えられた。世界ではチベットに対する抗議が巻き起こり、聖火リレーすら満足にできない状態になっている。これは中国政府が、国民の意識の高まり、世界の意識の変化に対応できていないことを示している。

 しばらく前に、開発に抵抗し土地を売るのを拒否したために、家の周りを全て掘り下げられたという人々のニュースが伝えられていたのを覚えているだろうか?10年以上前、三峡ダムプロジェクトを中国が実施するにあたり、数十万人もの移住が必要なことから、「今やらなければ、これ以上遅らせると国民に人権意識が芽生えて工事ができなくなる」と政府が危機感を持っていたという話があった。
 今、まさに中国でも国民の権利意識は向上してきている。

 もはや、中国共産党による独裁は限界を迎えようとしている。チベット問題や人権問題に対する中国の頑なな声明は、中国共産党の悲鳴のようにも聞こえる。

 結局、全体主義国家主義では国民は幸福にはなれない。現代ではそうした思想は受け入れられないのである。