音の波間に身を委ねて

昨夜、クラシックのコンサートに行った。
コンサートに行くなんてこと、本当に何年ぶりだろう。
ましてやクラシックのコンサートだ。
学生時代にはロックンロールばかりだった自分が、クラシックなんて、とちょっと自嘲してみたりした。

このコンサート、クラシックの割にはかなりの人気だ。かなり大きめの会場だが、席は殆ど埋まっている。最近はクラシック人気が高まったと言われているが、確かにそんな感じだ。

演奏が始まる。
自然と涙が出た。
クラシックの楽器はどれも綺麗な音がする。
その一つ一つの綺麗な音がオーケストラ全体で渾然と一体化し、複雑な色彩の揺らめく波となって、観客の体を包んでいく。

なんて心地よいんだろう。
音が、体に染み込んでいく。
そして時折、涙が出る。

「そうだ、音楽が足りなかったんだ」

昔、あれほど好きだった音楽。
その音楽から距離を置く日々。
忙殺のなかで、心が枯れていたのかもしれない。

心身をゆらりと包み込む、音の波間に身を委ねていられる、幸福な2時間半を過ごした。

こんなにリラックスしたのは本当に久しぶりだった。
いつもの夜更かしはできなかったよ。